2011年09月11日

荒木博武候補のビラを読む

10月の屋久島町長選に向けて各立候補予定者のビラが配られている。しかしじっくり読む人もあまりいないようで噂にもなっていない。本来はこれらを比較検討した上で誰に投票するか決めなければならないはずなのだが。そこで少しでも話題になるようそれぞれの内容を講評してみたい。まず荒木博武候補。

こういうビラは本来、まずどんな町にしたいか、だから何をするか、あるいは町は今どんな問題を抱えているか、したがって何をしなければならないか、といったことから説き起こすのが筋であろう。そしてそれを実行するのに自分が一番ふさわしいのだと訴えなければならない。ところがこの人のビラにはそういうストーリーが一切ない。これではいったいどうして立候補したいのか全く判らない。

ビラの表紙にはその半分を占めて大きな似顔絵があるが、いかにも田舎のおじいさん風でリーダーらしさは全く感じられない。候補者の中では一番若いのだから、なぜその若さを強調しないのか不思議だ。そしてその下に「屋久島・口永良部の高速ブロードバンド化」とだけ書いてある。ということはそれが第一の公約なのだろう。しかし高速ブロードバンドというのはハードの問題であり、大事なのはそれで何をするかだ。行政や教育、医療などに活用すると住民の生活はこんなに良くなると訴えなければならない。つまりそうしたシステム導入が主題であり、それはハードの整備などより、はるかに大変かつお金もかかるものだ。しかしそうしたことには全く触れていない。そもそもこの人自身、自分の意見をネットで公開したりもせず、議長だった時に議会の情報公開など全く進展させていない。これでは高速ブロードバンド化も、いつものハコモノ行政だと言うしかない。

ビラの裏には12項目に渡って施策が書き連ねてある。それらは最後を除いて極めて具体的ではあるが、それぞれの必要性も効果のほども優先順位も不明である。それより互いの関連が見えずばらばらで、これではたとえすべてが実現できたとしても、その時この町がどうなっているのか、その将来像が全く思い描けない。また最後の項目だけ抽象的に「行財政改革に取り組む」と書かれてあるが、どのように取り組むつもりか具体策が全く無い。これではできるかどうか評価しようも無い。「堅実・着実な行政運営」と続けてあるが、もともとこの町は大赤字を抱えているのだから、これでは新規事業など何もしませんと言っているに等しい。

さて施策項目の最初の方に戻ると、まず「在宅・通所・入所への支援強化」、「教諭指導員・複式学級指導員の採用」と並んでいる。耳ざわりは良いが、ではそのお金はどこから出てくるのか。またこれらが町政の根幹で、それによって町の将来が開けるとでもいうのか。そもそも最大課題にするべきは、こうしたことが可能になるよう、いかに町の収入を増やすかではないか。

次に「ぽんかん・たんかん・春ジャガ等の安定価格での販売体制を確立」とある。しかしすでに屋久島のぽんかん・たんかんは落ち目であり、その販売体制の確立は容易ではない。いったいどんな秘策があると言うのか。また安定価格など市場経済ではあるはずもなく、これは補助金を出すと言いたいのだろうか。「屋久トロ」についても加工流通体制確立を約束しているが、これはそもそもそんなにたくさん売れるものだろうか。まずは市場開拓の秘策を提示するべきだろう。

観光施策もいくつか上げられているが、すべてばらばらで総合的なビジョンが全くない。行き当たりばったりの投資は、結局金をドブに捨てることになるのだが。西部林道を自然道にするという施策は賛成だが、これはそれと同時に入り口付近にビジターセンターなど設けて、観光客を呼び込み観光収入を上げることと同期しなければ意味がない。

訳の判らないのは「花いっぱい運動」だ。どういう効果があるのか、ここに並べなければならないほど重要なことなのか。またどんな花を考えているのか。もし素人受けするコスモスとかヒマワリとかだったら、そんな外来園芸種は全く不自然であり、それは世界自然遺産を踏みにじることになるのだが。

また「照葉樹林帯を復活する」とある。それでサル、シカの被害を食い止めると書いてある。しかしサル、シカは良い環境があれば増えるのだ。増えたら里にあふれてきてしまうのは当り前だろう。続けて「紅葉の森を観光資源化する」とある。紅葉は落葉広葉樹だ。照葉樹林帯の復活とは相容れない。屋久島にもヤクシマオナガカエデなどきれいな紅葉はあるが、それらはパイオニア植物で自然破壊のあったところに生えている。そしていずれは常緑の照葉樹に取って代わられる。もし紅葉の名所にしたければ常に照葉樹を伐採し続けなければならない。そこは冬は灰色の枯れ木の山だ。年中一面の緑の島で、灰色のパッチは醜いと思わないのか。

どうもこの人は自然に関する知識が欠けるようだ。もちろん人は万能ではないから、苦手の分野があっても仕方がない。ただ自分はその分野は苦手だと自覚し、得意とする人に教えを請えばよいのだ。しかしこの人は、こんな大事な町長選の公約作りにおいてそれをしていない。たぶん自分の弱点への認識などなく、独りよがりで突っ走ってしまうのだろう。こうした人間性がこの候補の最大の問題だと思う。そういう人に住民の命や町の運命を任せることはできない。
posted by 夜泣石 at 11:21| Comment(1) | 屋久島町の動き | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この記事に対して、博武候補自身が苦情を言っていると聞いた。まず「出て行く人が何を言うか」。
しかし屋久島について、日本中誰もが論評して構わないはずだ。それともこの人は、たとえば中央のマスコミが屋久島の記事を書いても「黙れ!」というほど偏狭なのだろうか。

また「性格が悪いように書いてある。そんなことを書く人こそ性格が悪い」。
いや私は、性格のような生まれつきで直せないことについては触れていない。ただ、人の話を聞いて自分の至らなさを補うという当たり前のことをしない人だと書いただけだ。

それより何より、私は各施策について具体的に論評している。まずはその一つ一つに反論するべきだろう。ここにはコメントも自由に書けるようにしてあるのだから。

博武候補には、まだ本番ではないのだから、まずはよく見直して修正されることをお勧めする。間違ったことを言い張り続けるより、素直に直す方が結局は信頼されるのだから。
Posted by 夜泣石 at 2011年09月20日 08:49
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