2011年08月09日

アオバハゴロモ

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柿の木の若枝にアオバハゴロモがたくさん止まっていた。薄い緑色の羽は、白い粉をまぶしたかのようにぼんやりしている。そのままだったら周囲に溶け込んで保護色として効果的かと思うのだが、なぜか輪郭が淡い赤でしっかりと描かれている。それだけでなかなかおしゃれな感じになる。

1cmほどの大きさで、ちょっと見には虫とは思えない。よく見ると、芥子粒のような目と細い足が付いていて、なんだ虫だったのかとからかわれたような気分になる。こんな小さな目でもじっとこちらを見て警戒しているようだ。ぐっと近付くとすっと枝の後ろに回りこんで隠れる。その一瞬の滑らかな動きは機械仕掛けか何かのようで、足で動いている感じでは全くない。

簡単に捕まえられそうな気がするが、指を近づけた瞬間、ぱっと飛びはねる。見かけによらずバッタのような跳躍力だ。そしてそのまま羽を広げて別の枝に飛んでいく。たくさんまとまっていることが多いから、それらが一斉に飛び立ったりするとなかなかの壮観だ。

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直射日光の下では翡翠を思わせるようなとてもきれいな緑色だ。なるほど羽衣という名に恥じないなと思う。またそこに浮かび上がった網目模様を見ると、この虫がセミに近い仲間であることに納得が行く。食性もセミと同じで、針のような口を枝に差し込んで樹液を吸っている。なお学名の属名はGeishaで、芸者にちなんだものだそうだ。アゲハチョウか何かならともかく、こんなに小さな目立たない虫の名にしては意外過ぎる。しかしこうして拡大してみると、まあそれもありえるかなという気もしてくる。ともかく粋な昆虫学者がいたものだ。

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枝先にたくさん集まってみんなでじっと樹液を吸い続けているから、枝が枯れてしまわないかと心配になる。しかし実際にはそんなに害はないのだそうだ。近い仲間のカメムシは害虫として嫌われ者だが、それは見かけが悪いし悪臭を出すし、また枝葉だけでなく果実から果汁を吸ったりするからだろう。カメムシにやられると痛々しいような跡が残るし、成熟の遅れたいびつな果実になってしまう。

ところでアオバハゴロモの幼虫も、成虫に負けず劣らずなかなか意外性がある。このあたりでは春に、さまざまな草木の新枝の先が、カビでも生えたように白くなっていることが多い。あれがこの幼虫だ。汚れを取ろうかと指でも近付けると、もぞもぞ動いてびっくりする。さらに近付けるとぴょんと跳びはねて逃げる。体中を覆っている白い蝋物質が綿屑のように後に残りなかなか落ちない。それらが雨風でやっと洗い流される頃、ふと気付くと、同じところにこの豆芸者たちが居並んでいる。
posted by 夜泣石 at 14:23| Comment(0) | 生きもの | 更新情報をチェックする
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