2011年01月23日

メキシコハナヤナギ

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例年にない寒さの冬でも、メキシコハナヤナギはけなげにも咲き続けている。1cmほどの小さな花だが、細い枝にびっしりと咲き、また多くの枝がこんもりと茂るから、株全体がピンクに染まる。小さな木で高さは膝くらい、大株でも腰くらいにしかならないが、遠くからでもよく目立つ。屋久島に来てそこら中にあるのを見て、気にはなったがなかなか名前が判らなかった。まず何の仲間か見当が付かない。

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ある時たまたまネットで見つけてやっと名前が判った。所属はミソハギ科だった。その仲間は種類が少なく、よく見かけるものはサルスベリぐらいだ。しかし木の様子も花もまるで感じが違うので判らなかったのも無理はない。

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メキシコの名の通り中米原産だそうだ。熱帯〜亜熱帯性ということだが、意外に寒さに強いので高地性でもあるような気がする。屋久島の真夏の暑さは苦手のようで、花どころか葉も落とすほどだ。しかしそれ以外の季節は小さな緑の葉を形よく茂らせ、だいたいいつも咲き続けている。一番きれいな季節はもちろん春と秋だ。

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これだけ咲いても、果実や種子を見た覚えがない。花を拡大してみると、雄しべは盛んに花粉を出しているが、雌しべは外から見えない。ふと、ミソハギは異形ずい性の典型例であったことを思い出した。つまり株によって雌しべの長さの違う型があるのだ。同家受粉を避ける仕組みで、違った型同士でないと受粉できない。もしかしたらこの辺りにあるのは雌しべの短い型ばかりなのかもしれない。

この木は挿し木で簡単に増やすことができる。道端などの思わぬところに生えているのは、剪定して捨てた枝が根付いたのではないかと思うほどだ。この島の梅雨時など、そういうこともあり得るのだ。そうやって増えていったから、屋久島で見かけるこの木は、もしかしたらある時持ち込まれたたった一本が元になっているのかもしれない。

この花を最初はメキシコハコヤナギ、つまりハナ(花)でなくハコ(箱)と覚えたのだった。しかしそのうち、ハナヤナギと記している例も多いのに気付いた。特に園芸関係ではだいたいハナになっている。もともとハコヤナギとはポプラの仲間のことで、材が柔らかく箱などに加工しやすいからだそうだ。それからするとこの木にハコヤナギは全く似つかわしくない。それにもともとヤナギとは縁もゆかりもなく、ただ葉の様子が似ているということだけだそうだ。柳のようで花一杯ということなら花柳の名が似つかわしい。なお、柳というとしだれ柳のように細長くなよなよした葉を思い出すが、そんな大木にならない種類にはこのような小さな葉を密生させたものが多い。

屋久島の冬は例年なら寒い日があっても数日と続かない。特に島の南東側では、北風が中央の山に遮られてぽかぽか日和になることが多い。我が家では真冬でも日中は暑くて窓を開けたりしたものだった。しかし今年はほとんど曇り空ばかりで全く暖かくならない。パパイヤもパイナップルも葉が黄色くなってきてしまった。こうした熱帯性の草木が枯れてしまわないうちに、早く暖かさが戻ってきて欲しいと切実に思う。


posted by 夜泣石 at 09:17| 花草木 | 更新情報をチェックする
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