2010年11月25日

ヨモギ

(111640)s.jpg

先月頃からクシャミがよく出るようになった。口の奥、あるいはのどの上の辺りがむず痒い。ここ数年、私も花粉症になってきてしまったようだ。それにしても今どき、何が花粉を飛ばしているのだろう。我が家の周りで犯人探しをすると、どうもそれはヨモギのようだ。そこらじゅうに生えているし、秋の初めに咲き出し、次々に咲いて今でもまだ新しい花穂を伸ばしている。

(111638)s.jpg

ヨモギの花など小さく目立たなくて、ふだんまず気にすることはない。拡大してみても薄黄色のヒゲがもじゃもじゃしているだけで、ぜんぜん花らしくない。これは風媒花で、目立つ花で虫を誘う必要などないからだ。もともとはきれいな花を咲かせていたのだが、砂漠のようなところに進出して、虫がいないので代わりに風を利用するように進化したのだそうだ。まあ花は最初はみな風媒花だったから、元に戻ったとも言えるのだが。

もじゃもじゃしているのは雌しべの柱頭で、風の中の花粉を拾い集めるためだ。キク科だからこの小さな花はさらに小さな花の集合体だ。花の周辺は雌花ばかりで、中ほどに両性花があり雄しべがあって花粉を飛ばしているのだそうだが、すべて小さすぎてよく判らない。ともかく風まかせのためにたくさんの花粉を飛ばす必要があり、花粉症の犯人の一つになってしまった。それでも花粉の飛散する範囲がスギのように広くないので、全国的にはあまり問題にならないようだが、近くに荒地の多い我が家などでは苦しめられる。アレルギー反応を引き起こす力はスギなどよりずっと強いそうだ。ヨモギは薬草としても有名だから、これではマッチポンプということになるかと古びた言葉を思い出す。

(111550)s.jpg

ヨモギの花の一つ一つは貧弱だが、たくさんの花を付けた姿はそれなりにきれいだ。特に蕾の状態から咲き始めは真っ白で、背も高いので茂みの中でもなかなか目立つ。この白さは細かな毛が一面に生えているためだ。葉の裏もびっしりと毛に覆われていて、それを集めてお灸に使うもぐさが作られるとのことだ。小さく丸めてその頭に線香で火をつけると、ぽっと赤くなってすぐにそれがじんわり沈んでいく。幼い頃、毎日のように祖母の背中でやっていたのが懐かしい。いつの間にか私もあの頃の祖母の年代になってしまった。

またこの葉を入れた草もちを時々作ってもらった。ヨモギを使うのはこの毛が絡み合って粘りが出るからだそうだ。屋久島では、かからん団子など今でも普通にヨモギもちが作られている。入れるヨモギの量が半端でなく、つぶした葉っぱそのものを食べる感じがして最初は驚いた。本土では主に色付けのために混ぜると思うが、ここではヨモギそのものの風味がしっかり味わえる。

(111643)s.jpg

雌しべはじきに茶色くなって枯れてしまう。今頃はそんな状態のものが多い。日が傾く頃、茂みが一面に赤茶に色付いて、遠くから見るかえってきれいだ。

(111692)s.jpg

ふと、きれいな毛玉が葉に付いているのに気付いた。1cmほどもあるものがぽつんと、あるいは小ぶりのものがぎっしり並んでいたりする。表面は白いビロードのようで、見ても触っても良い感じだ。風船のようなものかと思ったら、意外に硬く中はしっかり詰まっている。これは虫こぶの一種でヨモギハシロケタマフシというのだそうだ。「ヨモギ・葉・白毛・玉・フシ」ということで読んで字の通りというわけだ。これを作るのはタマバエの一種で、葉の中に卵を産みつけ、幼虫が孵ると何らかの刺激であたりの細胞が異常に増殖するのだそうだ。幼虫にとってはこの玉は住処でありまた食物でもある。なぜかヨモギには虫こぶができやすく、形もさまざまで8種類ほどもあるのだそうだ。

ヨモギの仲間は在来種も多く、また最近は外来種も増えているという。しかし特徴が掴みにくく区別が難しい。日本の南の方に多いのはニシヨモギという種類なのだそうだ。我が家の周りのヨモギもどうも東京あたりで見なれたものとどこか感じが違うので、きっとそれではないかと思う。ニシヨモギは沖縄ではヤギ汁や沖縄そばに入れるので畑で栽培したりもするそうだ。普通のヨモギよりも香りが良く苦味も柔らか目なのだそうだ。だからあんなに濃厚なヨモギ団子が作られるのかもしれない。
posted by 夜泣石 at 06:43| 花草木 | 更新情報をチェックする

2010年11月22日

大連立を待望する

(111704)s.jpg

最近ニュースを見るとうんざりする。日本の社会や人々の暮らしは暗い話ばかりだ。経済がおかしくなったのはもう20年も前だと思うが一向に良くならない。国の借金はもうどうしようもないほど膨れ上がってしまったし、周辺の国々はいろいろ挑発までしてくるようになった。課題は山積しているのに有効な手立ては全く講じられていないし、方向すら見出せていない。政権交代は全く期待はずれに終わって政治の混迷は深まるばかりだ。

国会は下らないことで空転ばかりしている。法務大臣が馬鹿なことを言った。人はもともと愚かだからいちいち揚げ足取りなどしても仕方ないだろう。ただこの場合は、単なる失言でなく本当にそう考え実行してきたのだから、大臣として不適格なのは火を見るよりも明らかだ。即座に首を切るべきだったのだ。一方、官房長官が暴力装置と言ったとか騒いでいるが、これは決して間違いではない。権力を握る者や武器を持つ者は、自戒として常に胸に置いておかなければならない言葉だ。せいぜい国会の場では表現が不穏当だったと注意するくらいだろう。またビデオ流出の責任で国土交通大臣の辞任を求める連中もいるが、就任2ヶ月でそこまで部下を律することなどできるわけがない。組織としての責任はあるから注意処分くらいで、さっさと終わりにするべきなのだ。こんなことで時間をつぶしていてよいほど、日本はおめでたい状況にはない。

国会を維持するためにとんでもない費用がかかっている。国民はこんな下らない堂々巡りのために高い金を払っているのではない。議員たちにその自覚はあるのだろうか。それに見合った仕事をしているのか自問自答してもらいたい。

今の民主党政権はすっかり行き詰っているが、それを批判する権利はそもそも自民党にない。諸々の問題は自民党の長期政権の間に形作られたものだ。そしてその末期に、彼らもどうしようもなくなって毎年首相を交代させている。今も強力なリーダーがいるわけでなく、たとえ政権を取り戻したところで結局一年前に戻るだけだろう。

こんな議会政治を続けていて、よその国だったら軍事クーデターが起きてもおかしくない。そのくらいの強力な指導体制ができなければ、この悲惨な状況から抜け出せそうにない。ではそれを民主的に実現するにはどうしたらよいか。それは与野党の大連立しかないのではないか。

皆が与党なら今のように党利党略が最優先になることはないだろう。各党を見渡してもリーダーの人材に欠けるのが問題だが、それでも各議員は今よりずっと一致して国難に当るだろう。どれもどうしようもないほどの問題ばかりで抜本的な解決策などどうせ望み薄だ。それよりも少しは協力し合うことで議員や国民の間に信頼感が養われていくことが、この国にとって長い目で見たら重要だろう。

一つだけ、根本解決を図らなければならないことがある。こんな政治になってしまったのは、そもそも政治制度がおかしいのだ。どのような体制にするべきか根本から見直す。国のあり方を設計し直して憲法を作り直す。大連立政権はそれをするための準備政権と位置付けたい。今の政権はもうそれほど持たないかもしれない。しかし次の総選挙ではどこも絶対多数は取れないのではないか。それならば最初から大連立するかしないかで国民の信を問うて欲しい。
posted by 夜泣石 at 15:45| 世の中のこと | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

スナガニ

(111667)s.jpg

久しぶりに砂浜に立ち寄ってみると、海が荒れ大波が押し寄せて、たくさんの貝殻が打ち上げられていた。さっそく貝拾いをしていると、忍者か何かのようにすごい速さで走り去っていく影があった。きっとスナガニだな、捕まえられるかな、と試しに追いかけてみた。

(111670)s.jpg

走る速さはこうした小動物中一番ではないかと思うほどだ。それに一息で走る距離も長い。遠くに行ってじっとされると、今度は小さいし色は砂とそっくりだからどこにいるのかさっぱり判らない。何度も逃げられたが、そのうち向こうも疲れたか逃げ飽きたのか、やっと近寄らせてくれてその姿を見ることができた。

(111669)s.jpg

向こうもじっとこちらを見ている。黒いぽつんとした小さな点が寄り眼のようで愛嬌がある。それにしても大きな目だ。それを精一杯高く伸ばしている。何でもカニの中で一番目が良いのだそうだ。さえぎるもののない砂浜、こうして敵をすばやく見つけなければ生きていけないのだろう。この目は横に倒すと体の窪みにぴたっとしまわれる。その姿も撮りたかったが、一瞬倒す時はあってもほとんどにらめっこしたままだった。よく疲れないものだと思う。

波打ち際からかなり離れた乾いた砂浜に小さな穴があった。たぶんそれがスナガニの巣穴だろう。彼らは水が苦手で波のかからないところにずいぶん深く穴を掘るのだそうだ。そして夜になると、打ち上げられた魚など食べに出て来るという。このスナガニが昼間出てきたのはよほどお腹が空いたのだろうか。それにめくら滅法逃げ回ったから、もう自分の家がどこなのか判らなくなってしまったのではないか。かわいそうなことをしてしまったのかもしれない。

(111668)s.jpg

スナガニは大きなものは3cmほどにもなり、色もカニらしく赤いのだそうだ。鋏も大きくなり指を挟まれると血が出るほどだという。しかしここで見かけるものはいつもせいぜい1cmかそこら、色もこのあたりの砂と同じで薄く半透明だ。きっとまだ幼い個体なのだろう。本土ではたくさんの巣穴が並んでいた砂浜など見たことがあったが、ここではずっと少ない。めったにないといったほうが良いくらいだ。このあたりは荒海で浜の姿はしばしば一変する。浜のはずれの高いところに埋められたウミガメの卵ですら時々洗い流されてしまうほどだ。小さなスナガニが彼らとしては精一杯深く穴を掘ったとしても、ひとたまりもないのだろう。彼らにとってこの島はかなり生き辛いところかもしれない。

(111673)s.jpg
posted by 夜泣石 at 06:56| 生きもの | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

タイワンホトトギス

(109754)s.jpg

この花を初めて見たのは小学生の頃だった記憶がある。遠足で行った峠の茶屋の横に、背丈ほどの株が一面に花を咲かせていた。世の中にはこんなきれいで変ったものがあるんだと感動したことを今でも思い出す。それからだいぶ経って、たまたま図鑑で見つけてそれがホトトギスという名であることを知った。

ホトトギスというと鳥のことだが、それがまだら模様で、それに似ているのでその名前をもらったのだそうだ。しかしまだら模様ならカッコウもそうだし鷲鷹の類にも多い。それに鷲鷹なら悠然と空を飛ぶから模様がよく見えるが、ホトトギスは木の葉に隠れてたいていはよく見えない。それなのになぜホトトギスが選ばれたのだろう。その鳴き声から、昔の人には特別印象深い鳥だったのかもしれない。

(111608)s.jpg

花というものは普通、一色ですっきりしている。多色の場合もたいてい規則的に塗り分けられている。このような不規則な斑点というのは珍しい。何より真ん中の噴水のような形もまず見かけない。どういうわけでこんな構造になったか、自然の作った不思議な機械でも見るような思いがする。

(111632)w.jpg

これはもしかしたら虫を捕まえるための罠かもしれないと初めて見た時は思った。しかしそんなことはなくやはりこれも普通の花と同様、虫に送受粉をしてもらうための仕組みだった。外側の花びら(ユリ科だから正確に言うと外花被片)の根元は膨らんでいて中に蜜が出ている。それを吸おうと虫が頭を突っ込む。すると上の方に6個並んだ大きな葯が背中に当たり花粉が付くのだ。やがて葯がしおれる頃、今まで上に向いていた雌しべがぐっと下に垂れ下がるように曲がってくる。他の花の花粉を付けた虫がやってくると、その背中に今度は柱頭が当たり花粉を受け取る仕組みだった。これがうまく機能するためには高さが揃わなければならない。かなり大きめの蜂、マルハナバチでないと駄目のようだ。

このような仕組みが有効なら、他にもこんな花があってよいはずだと思う。ふとトケイソウが良く似た形なのを思い出す。まったく縁もゆかりもない植物同士が、たまたま同じような形になったということはやはりうまく機能しているということか。しかしまたそれが普及しないで珍しい花にとどまっているのはどうしてだろう。この形を作り上げるのが大変すぎて投資効果に見合わないのだろうか。ホトトギスの仲間の分布はほとんど日本が中心で世界的には珍しいそうだ。

(111629)s.jpg

蕾の形も面白い。昔の漫画に出てくるロケットのようだ。ところで花びらの下のふくらみの形で、この花がタイワンホトトギスであることが判った。日本在来のホトトギスはこぶが一つだが、タイワンホトトギスは二こぶなのだった。両者はよく似ているが、タイワンの方が強健で花数も多いのでよく植えられるのだそうだ。花は小ぶりということだが、我が家の株は4cmを超える大きさだから両者の雑種かもしれない。そんなこととはつゆ知らず庭に植えたのだが、後で調べたらこの島にはホトトギスは自生していないのだった。それどころか東京近辺の山ならごく普通だったヤマホトトギスなどもなく、ここにあるのは小さなチャボホトトギスだけなのだそうだ。

(111627)s.jpg

ホトトギスは夏の終わりに咲くのだが、我が家の株は10月後半から今頃に咲く。さすがにだいぶ寒くなって、もうマルハナバチは見当たらない。ヒラタアブならまだいるが、彼らは小さいし花の中にもぐり込んで蜜を吸うような技術を持たない。今多いのはホシホウジャクなどのスズメガの仲間だが、彼らは花に触れずに蜜を吸う。原産地なら11月でもマルハナバチがいるのだろうが、ここでは受粉者に恵まれないようで、こんなに咲いても結実しているのに気付いたことはない。
posted by 夜泣石 at 06:46| 花草木 | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

尖閣ビデオ流出の雑感

(111599)s.jpg

尖閣ビデオを見て、その明らかな犯罪ぶりに恐れ入った。これを中国の要人たちは見ているのだろうか。もしあの海域を彼らの言うように中国領だと仮定したとして、それであの犯罪は許されるのだろうか。北京市内で故意に車をぶつけたと同じことだ。中国が自国の領土だと主張するなら、法に基づいて船長を厳重に処罰しなければならない。それをしないのなら、つまり国内法を適用しないということは、あそこは自国内ではないと認めたことになるはずだが。

ともかく真実を国民や世界中の人たちが知ることができて、ネット社会とは本当に良いものだと思う。またこれをNHKなどが繰り返し放映したのも良かった。ネットだけではどうしても見る人が限られる。これで今まであまり関心のなかった人でも嫌でも判らされたはずだ。皆が関心を持たなければ国は良くならない。

これを流出させた犯人探しはして欲しくない。もし見つかったら、その人はヒーローに祭り上げられるだろう。するとヒーロー気取りで何でもかんでも流出させたがる連中が続出する恐れがある。こういうことは真の憂国の士が、義憤にかられ自らの価値判断に基づいて人知れず行動するものであって欲しい。

ところでこれをなぜ政府は公表してこなかったのだろう。もし中国に対し、そちらの犯罪事実の確かな証拠を持っている、言うことを聞かなければ公表すると、交渉を有利にする材料に使っていたなら隠すのも当然だ。しかし中国の高飛車な態度からすると、せっかくの持ち札を無駄にしていたとしか思えない。うまく使いこなせないなら、さっさと公表して世界中の人に判ってもらった方が良かったのだ。

巷では民主党政権のふがいなさを嘆く声が多い。野党など絶好の攻撃材料ができたと喜んでいるようだ。しかしでは、自民党だったら何をしただろう。今の日本の状況では、誰であっても何もできそうにない。そもそもふがいなくない対応とは何だろう。武器を持って戦うことではないだろうか。尖閣で中国と、北方4島でロシアと、竹島で韓国と戦争する。これは侵略ではなく防衛であるとの大義はある。しかしそれらの島々と日本の若者の命とどちらが重いかと問われたら、今の日本人の大半は命の方を選ぶだろう。だらしないとかふがいないとか言われようとも、そうした国になって良かったと私は思う。

情報が隠されていて、扇動や誘導があったらそうは行かない。米国や英国など民主主義の国といえども、強いリーダーがいればイラクなどで自国の若者や他国の人々を大勢殺している。中国のような独裁国は、産業の発展や外交などには極めて有利だろう。日本をはじめ周辺各国は今後も大変な迷惑をこうむることだろう。しかし最も苦しむのは中国国民のはずだ。それが永久に続くとは思えない。これほど情報の行き渡る時代、あと50年もすればあの国も今の日本のような水準に達するものと期待したい。
posted by 夜泣石 at 11:45| 世の中のこと | 更新情報をチェックする

2010年11月04日

ナワシログミ

(111516)s.jpg

庭を見回っていて、ふととても良い香りに気付いたのは先月も半ば頃だった。見るとナワシログミの小さな花が開きかけていた。それから半月以上、あたりはすばらしい香りに包まれた。香りの良さではキンモクセイにも引けをとらないが、それよりずっとなまめかしく、ねっとりむっとするほどの感じだ。

(111546)s.jpg

花は枝という枝に無数に付く。蕾の形が独特で面白い。白い色にはつや消ししたような深みがある。じつはこれは毛に覆われているのだが、それが膜のように広がった毛で、うろこのように重なっているのだった。そばかすのような茶色の斑点が花にも葉の裏にもびっしり付いているが、これは茶色の毛が散らばっているためだった。

(111545)s.jpg

花は先の方だけ4枚に裂ける。開いても5mmに満たない。下は筒になってくっついているのだから当然合弁花であるはずが離弁花に分類されていた。どういうことかと思ったら、じつはこの筒は萼でこの花には花弁はないのだった。ではどうして分類できたのかと不思議に思う。

(110114)s.jpg

無数にある花は咲き終わるとどんどん落ちて地面を白く覆う。それでもかなりの花が残り、数ヶ月もするとこれまた無数と言ってよいほどの果実が実る。表面が白っぽいのは花を覆っていた毛がそのまま残っているためだ。この果皮も果肉も、普通の果物とは違って萼が変化したものだ。だからこれは偽果と言われるのだが、そんなまがいもの扱いするなと言いたくなるほどきれいな宝石のような果物だ。ナワシログミの名は苗代を作る頃実るからだそうだが、この南の島では2月にはすっかり赤く色付く。

(110110)s.jpg

切ってみると中は真紅でみずみずしく、ますます宝石のようだ。十分に熟すととても甘い。しかし残念ながらなかなか渋味は抜けない。こんなものが無数に実っているのだから鳥が見逃すわけがない。しばらくは木に鳥も生っているような感じになる。彼らはかなりの渋味にも平気のようで、熟しきらぬうちからどんどん食べてしまう。おかげで人間の口にはほとんど入らない。鳥たちはあちこちに種を落としていく。そうして庭中雑草のようにグミが芽生えてくる。

(111590)s.jpg

ナワシログミは日本固有種で、伊豆半島あたりから西に分布し屋久島が南限だそうだ。しかし我が家の株は自生のものではなく、大きな実のなる選抜種を購入して植えたものだ。この庭の土は粘土質で養分も少なく、最初はススキくらいしか生えなかった。そんな中でこの木だけはぐんぐん大きくなった。根粒菌と共生していて窒素肥料を自給できるのだそうだ。もしそれで上にすっきり伸びて形良く整ってくれれば言うことなしなのだが、どこが幹でどこが枝だかわからないほどの茂りようだ。そうしてどうしようもなく横に広がっていく。これ以上侵略させないようどんどん刈り込むのだがお構いなしだ。昔は都会で公園に植えられたり生垣などにも使われたそうだが、手入れが大変で廃れたというのがよく判る。最近、崖下に植えていたキウイがやはりどうしようもなく茂ってきて、ついにこのナワシログミに絡みついた。化け物同士の戦いが始まったようで、どうなることかと見守っている。
posted by 夜泣石 at 06:55| 花草木 | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。