2007年11月30日

クスアオシャク

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我が家の居間の天井にヤモリの子がずっと棲みついている。最近あまり動かず、餌も食べていないようなので心配している。なんだかだいぶやせてきたようにも見える。


餌を絶やさないようにと、夜になると窓に来た蛾をどんどん中に入れてやる。ふときれいな緑の蛾が目に留まった。体の長さはせいぜい1cmくらいなので、大きな蛾のようなちょっと気味悪いような感じなどない。それどころかかわいらしいくらいなのでヤモリの餌にしないで、そっとしておくことにした。


緑色をした蛾は多くはないが、それでも春頃から時々目にしている。もっと鮮やかな緑や濃い模様のあるものだったが、これはくすんだ明るい緑に白い細い線が入っているだけだ。形も角ばったところがなく、全体に落ち着いた品の良さを感じる。


蛾には櫛の歯のような大きな触角のものがいて、それを気持ち悪いと言う人がいる。実はあれは雄で、雌の出すかすかなフェロモンを逃さないように触覚を発達させているのだ。この個体は雌で、細紐のような触角を形よく伸ばしている。


ネットで調べてクスアオシャクと判った。幼虫は尺取虫で、クスノキ科のクスノキやタブノキの若葉や新芽を食べるのだそうだ。このあたりにはそれらはやたらに多いから、この蛾もたくさんいるはずだ。本州でも千葉県あたりから南に広く分布する普通種だそうだから、きっと以前にも何度も目にしていたことだろう。やっとこんな虫もしっかり見られるようになって、どうやら田舎暮らしもすっかり落ち着いてきたように思う。
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2007年11月28日

ヒメツルアリドオシ

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山の大きな苔むした岩の上に、小さな赤い実が並んでいた。せいぜい3mmくらいしかないから、かなり注意していないと目に入らずに通り過ぎてしまう。コケの間に落としたビーズを探すくらいの心持だ。気が付けばこの時期、あちこちの岩の上に点々と転がっている。


実をよく見ると2つの目が並んでいる。これは花の跡で、二つの花から一つの実ができたためだ。もともとは別々だったのが、あんまり小さいので二つくっつけて少し大きめにして、鳥などに見つけてもらいやすくしたのだろうか。


ヒメツルアリドオシはツルアリドオシの変種で、厳しい環境に適応するため矮小化したものだという。葉も実ももとの半分どころか三分の一もない。ツルアリドオシの名は、アリドオシに似ていてつる性だからということだが、同じアカネ科ではあっても類縁というわけではないそうだ。アリドオシは刺だらけで山歩きの邪魔をする小低木だ。ツルアリドオシは刺もなく柔らかな草だが、葉や実の感じは似ていなくもない。


ヒメツルアリドオシは鹿児島県北部に一ヶ所と、あとは屋久島にしかないという。珍しい植物だそうだが、この島の山には普通にある。夏の初めに真っ白のかわいい花が咲き、秋に実る。そのままずっと赤いまま、冬枯れの岩の上にいつまでも残っている。
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2007年11月26日

トクサラン

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山道脇のあちこちにトクサランが咲いていた。2cmくらいの小さめの花だが、膝ほどの高さの花茎に点々とたくさん咲くからなかなか見事だ。といっても派手さはなく、明るい黄色と白の取り合わせはとても清楚な感じだ。唇弁の形が面白く、特に先の方が広がって縮れているのがしゃれている。顔を近付けるとなんとも言えない上品な香りをほのかに感じる。


花に比べて葉はかなり大きめで、エビネに似て縦しわが目立つ。葉の落ちた節が間隔を取って並ぶ様子はトクサに似ているので、この名は一度で覚えられる。九州南端から南西諸島に広く分布し、どこでもそれほど珍しい種類ではないそうだが、屋久島には特に多いような気がする。


ここにはランの種類も個体数も多く、春の初めから次々に咲く。そして一年の最後を飾るのがトクサランだ。もう昼間でも肌寒くなった山の林床に咲いている。花は虫を呼ぶためのものだから、なぜわざわざ虫のいなくなる頃咲くのか不思議に思う。しかもこんな透明感のある花だから、薄暗い林の中でほとんど目立たない。


それでもたまに木漏れ日の当るわずかな時間、はっとするほど輝いて見える。ランはだいたい長い間咲き続けるから、いつか気まぐれな虫が通りかかって訪れることもあるだろう。一、二度来てくれれば十分なのだから、何も欲など出さなくても良いのかもしれない。
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2007年11月24日

ヒメシャラ

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山に行くと、ところどころに紅葉したヒメシャラがあった。明るい緑、黄色そして赤茶と、さまざまな色合いで輝いている。暗い緑に覆われた照葉樹林の中だから、見上げるとまぶしいくらいだ。幹や枝も異様に赤く、不思議な光景を作っている。


ヒメシャラは日本固有種で箱根あたりから屋久島までの太平洋側の範囲にしかないという。不思議なことに両端に多く、箱根でたくさん見たし、屋久島にも多い。山の湿った谷沿いなどあちこちで目に付く。


ヒメと名が付くから小さい木かと思うと、実際にはかなりの大木だ。花がシャラノキとも呼ばれるナツツバキより小さいというだけだった。まっすぐ伸びるものもあるが、幹や枝が曲りくねったものが多く、薄暗い森の中で赤い大蛇がのた打ち回っているようなものまである。


この幹に触るといつもひんやりと冷たいのに驚く。とても硬く、密度が高いので熱がよく伝わり、肌から熱を奪っていくためだという。それに普通の木のように樹皮に覆われていなくて、すべすべした木肌に直接触れるためだろう。


樹皮は毎年できて秋に剥がれ落ちる。もともと死んだ組織だから落としても差し支えはないが、普通の木は服のようにずっと着けている。ヒメシャラはあんまり肌が丈夫なので服など必要ないのだろうか。


屋久島の山ではだいたいどの木も幹は黒々としている。樹皮がたっぷり水を含み、コケなどがびっしり生えていたりする。そんな中でヒメシャラは余計なものなど振るい落として場違いなほど明るく目立っている。薄暗い照葉樹林はなんだか怪しげな空気に満ちているが、そんな中にこんな赤い木が静かに突っ立ていたりすると、いっそう謎めいた感じがしてくる。
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2007年11月22日

クダマキモドキ

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サツマノギクの花が満開になった。もともとこの島の海岸線を真っ白に彩っていた花だから、この地の風土にはぴったりなのだろう。我が家の石積みをすっかり覆い隠すほどに咲き乱れている。


ふと、キリギリスの仲間の虫がじっとしているのに気付いた。クツワムシにしては小柄だが、ウマオイにしては大きめだし緑色も濃い。ツユムシの類にしては翅が幅広すぎる。時々夜の明かりに来ている虫のようだが、網戸の向こう側なのでちゃんと見ることはできずにいた。


図鑑で調べてクダマキモドキだと判った。クダマキとはクツワムシの別名で、鳴き声を糸車を繰る騒音にたとえたのだという。そのモドキであるから、これはクツワムシの偽者、まがいものということになる。確かにかなり似ていて少し貧弱だから、まあ合ってはいるがいささか気の毒だ。あまり聞きなれない名前だが、本州以南に広く分布していて別に珍しくもないそうだ。樹上生活者で、地上に降りることはほとんどないので馴染みがないだけのようだ。


クツワムシは馬の轡をガチャガチャさせる音にたとえられるほど、その鳴き声は騒々しい。それに対してクダマキモドキは、ほとんど聞こえないくらいのか細い声で鳴くそうだ。しかも極めて珍しいことに雌も鳴くのだという。


秋の夜、月に照らされた草むらでは、たくさんの虫がそれぞれの声を張り上げてとてもにぎやかだ。そこから離れて、しんとした木々の暗い梢で、ひそかに鳴き交わしている虫がいたなどとは思いもよらなかった。
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2007年11月20日

ウリクサ

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夏から秋にかけて長い間、日陰の地面をコケのように覆っていたウリクサも、もうあまり見かけなくなった。1cmもない小さな花だが、足元に一面に散らばっている様子は星屑のようにも見えてきれいだった。


白と紫の微妙な配色がしゃれている。派手ではないが地味ということもなく、程よい釣り合いを保っている。斜めににゅっと手を上げているような形も面白い。筒型の花びらが、先の方で上下に分かれ、その下側がさらに三つに分かれている。小さな虫を呼ぶための工夫だろうが、なかなか凝った形だと思う。


ウリクサの名は果実の形がマクワウリに似ているからだという。しかし巨大なマクワウリと、このマッチ棒の頭ほどの実とをよく結びつけたものだと感心する。ともかく形が似ているのにあまりに大きさが違っていると、なんだか滑稽な感じもして楽しい。


日本全国、じめじめしたようなところにどこにでもある花だから、特に目を向けることもなかった。しかしどこにも行かず、誰にも会わない毎日を送っていると、こんなありふれたものにもふと気を引かれる。そして思いがけない美しさに感動したりする。
posted by 夜泣石 at 20:34| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月18日

クチベニタケ

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山の崩れかけた崖の斜面に、白い丸いキノコがぽつぽつと出ていた。小粒のビー玉くらいで、頭に真紅の模様がある。これを口紅に見立ててクチベニタケというそうだ。愛嬌のある名前を付けたものだと思う。おちょぼ口にだいぶはみ出してしまっているのは、小さな女の子が母親の真似して塗りたくったものか。


やがてこの赤い部分の中ほどに割れ目が走り、かすかに口を開く。玉をそっと叩くと胞子が煙のように吐き出される。こんな袋状のキノコはいろいろあるが、見つけるとついぽんぽんやってみたくなる。自然では雨粒がぽつんと当って胞子がぱっと出るのだそうだが、そんなところを見てみたいものだ。


クチベニタケは屋久島に来て初めて見たが、日本全国わりと普通にあるのだそうだ。生えている所が何もなさそうなぼろぼろの土の上なので、注意して見たりしなかった。気が付けばかなり派手な色合いなのだが。キノコは花と違って虫を呼ぶなどの必要性はないのに、それにしては鮮やかな色やおかしな格好のものがあるのが不思議だ。


今のところ日本でしか見つかっていないので、海外のキノコ好きに見せると感激してくれるそうだ。ふと近頃もてはやされている日本アニメやオタクの世界のキャラクターのような気がした。そういえば日本文化は、昔は侘び寂びが合言葉だったが、今はかわいい系が海外で評判なのだそうだ。
posted by 夜泣石 at 20:54| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月16日

ヤクヤモリ

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天井で蛾を食べる子供のヤクヤモリ


夜、天井にヤモリが張り付いていた。まだ幼い固体だ。測ってみると6cmもない。尻尾を除くと体の部分はせいぜい3cmだ。なんだかやせ細っているように見える。これから寒くなる今頃に生まれてしまったのだろうか。虫が少なくなる時期、ちゃんと餌にありつけるか心配になる。


気になって次の日も天井を見回したらまた出てきていた。網戸に蛾がいたので、何匹か家の中に入れてやった。蛾が天井に止まったのでそちらにヤモリを誘導する。見つけてぱっと飛びついたが、さっと逃げられてしまった。やれやれと思っていたら、少ししてばたばた飛び回っていた2匹目をうまく捕まえた。思わずよくやったと拍手してしまった。自分の口よりだいぶ大きいので、飲み込むのにしばらく苦労していた。


翌日も出てきたので蛾を入れて誘導して食べさせた。次の日も出てきたが、満腹状態なのか食べなかった。翌日、天井で音がするので見たら、いつのまにか自分で捕まえて食べていた。こうして毎日毎日ヤモリと遊んでいる。もう放し飼いのペット状態だ。時々尻尾を上げてゆっくり回したりしているのを見ると、犬が尻尾を振っているみたいで、かわいがっている気持ちが通じたかと思ってしまう。


ヤモリは昔から馴染みのある動物だ。夜、勉強机の明かりによく来ていた。似たような形のトカゲやカナヘビと違って、薄く柔らかな肌はヘビのような気味悪さはない。あたまでっかちで大きな目、動作もどこかぎこちない。そっと手に乗せると、ぺたぺたする足がくすぐったく、ひんやりと冷たい肌が気持ち良かった。


屋久島のヤモリはヤクヤモリという種類だそうだ。森林性で民家の明かりには近付かないと図鑑には書いてある。しかしそんなことはない。我が家には新築早々住みついて、明かりに集まってくる虫を食べていた。ただ本土のニホンヤモリに比べると、動作は速く人馴れせず、なかなか手に乗ってくれない。一度そっと乗せてみたら、すぐに肩や背中の方に駆け上がってしまって壁に戻すのに苦労した。屋久島にはもう一種、人家に住むミナミヤモリがいるそうだ。しかし近年になって入ってきたようで、大きな港のあるいくつかの集落にしかいないという。


夏に大人のヤモリを何度も見かけたので、それが家の中で卵を産んだのだろう。本来は暑い時に生まれるものだそうだが、異常気象か家の中のためか季節を間違ってしまったようだ。暖かな部屋では冬眠しそうにないので、この冬はずっと餌の心配をしなければならない。家の中にはもう一つ、手の平ぐらいもあるアシダカグモが、どどどっと大きな音を立てて突っ走っている。これに見つかったら、小さなヤモリなど逆に食べられてしまいそうだ。幸い寒さに弱いようで、この頃はほとんど見かけないのでほっとしている。
posted by 夜泣石 at 21:40| 生きもの | 更新情報をチェックする

2007年11月14日

ダイモンジソウ

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山に行ったら、ダイモンジソウが咲き残っていた。本来なら長い花びらが2枚と短いのが3枚で「大」の字を作るのだが、もうどれも欠けたり千切れたりしている。花が終って実になっているものも多いが、その形が面白い。2本の角がぴんと上に突き出ていて、なんだかカタツムリの目のようだ。


これは雌しべの2本ある柱頭の名残だ。雌しべは明るい黄色で、オレンジの葯ときれいな取り合せを見せている。雄しべは10本だが、きちんと並んでいなくて、前の方に曲がって突き出しているものがある。これは訪れる虫に触れるためだそうだ。そしてその突き出す順番がちゃんと決まっているという。自然はほんの小さな片隅にも、本当に思いもかけない仕組みがあるものだ。


ここにあるのはヤクシマダイモンジソウという屋久島だけの固有品種だそうだ。日本各地にあるダイモンジソウよりだいぶ矮小化していて、葉の形にも特徴がある。中には細長い葉のものがあって、それは川が増水しても逆らわずに、流されないようにするためだという。


南国といってもここは1000mを超えるところで、今頃は昼間でも肌寒い。澄み切った冷たい水がとうとうと流れる傍らで、人知れず小さなものたちが懸命に生きている。
posted by 夜泣石 at 22:22| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月12日

町長選の無残な結果

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雲に隠れる朝日


新生屋久島町の町長選は無残な結果に終った。初代町長は旧屋久町長に5期19年も居座った人が続投することになった。新しい革袋に腐った酒を入れてしまったと言ったら言い過ぎだろうか。行き当たりばったりの施策、利権と談合、無気力な役場、将来にツケを回す借金の山。混迷が目に見えるようだ。


しかし選挙終盤の頃から何となくそんな気がしていた。何しろ情報が入らないのだ。都会の選挙なら様々な報道があり、誹謗中傷も厭わぬたくさんのビラが配られ、駅前ではうるさいほど演説が聞こえた。ここでは県道を走る街宣車から候補者の名前が連呼されるだけだった。田舎にはマスコミは来ず、ここにはミニコミもなく、口コミだけの世界だ。これでは体制は覆せないだろうと思った。


選挙のあることはずっと前から判っていたのに、新人たちはやっと数ヶ月前になってあわてて立候補を決意している。これでは間に合うわけがない。現職はもう20年も選挙活動をしていることになるのだから。戦いぶりもなんだかおとなしく、選挙巧者という評判の現職以上のえげつなさとか、何が何でもという開き直りは感じられなかった。


周りを見ると農業一筋に生きてきた老夫婦が多い。彼らの日常は畑と家とゲートボール場ぐらいだろう。テレビでは屋久島を美化する番組はあっても、その政治や行政を突く報道など皆無だ。現状への危機感など持っていないどころか、体制の変ることの方を恐れるだろう。その静かな生活が、このままでは根底から脅かされるかもしれないことを、挑戦者たちは訴えられたであろうか。


行政も基本は経営だろう。屋久島に最も欠けているのは経営計画だ。以前からもてはやされている将来像は、外からの学者やお役人の作文に振り回されているようで経営的観点に乏しい。そもそも観光文化村構想などで食べていけるわけがないだろう。


農漁業はこれからも段々に衰退していくだろう。観光業も右往左往しているうちに、一部の人の懐を潤すだけで、島としては大事なものを失っていくだろう。今や世界遺産など珍しくもなくなってきつつある。熱狂的なファンは残るとしても、やがて多くの観光客からは見捨てられてしまうかもしれない。今すぐに、観光産業を主軸に農漁業も含めた総合的な経営計画を立てなければ、他の多くの離島と同じ困窮の運命をたどるだけだろう。


ともあれ当選者の得票は全体の3分の1もなかった。次点との差は200票もない。もし第4位の候補者が出ていなかったら、この人は最も反体制的だったから、形勢は逆転どころかこの当選者が最下位になっていた可能性すらある。それなりに人々の意識は高まっているものと思われる。


早急の課題は議会が本来の役割を果たすようにすることだろう。そのためには監視を怠らないことだ。議員の誰か、ブログで議会の様子を逐次レポートしてくれないものだろうか。あるいは有志が組んで、順番にでも常に議会を傍聴してブログで報告してもらえないだろうか。ブログ人口はいまだ少ないが、こういうことが刺激となればきっと広がっていくことだろう。そもそも民主主義の前提である情報の共有は、インターネットで初めて本当に実現できるものなのだ。


そういう活動が、次の町議会議員選挙で、翼賛的な多選議員を一掃することにつながるだろう。それに今の世の中、いつ何時、不正の発覚で現職の逮捕やリコールなどあるかもしれないのだ。選挙の終りは次の選挙の始まりと考えて、現職の指名した後継者に引き継がれたりすることのないよう、有意の人の地道な努力の積み重ねを期待したい。
posted by 夜泣石 at 21:39| 屋久島町の動き | 更新情報をチェックする

2007年11月10日

セイタカアワダチソウ

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もう4、50年も昔になろうか、日本各地でセイタカアワダチソウが猛威を振るっていた。列島改造とかであちこちやたらに掘り返されて、その荒地に一面に咲き乱れた。セイタカの名の通り、人の背丈をはるかに越える高さで、黄色の花をおびただしく咲かせる。根から他の植物の成長を抑える化学物質を出すとのことで、広い空間を独り占めしていた。


輝くような金色の穂波はすばらしかった。北アメリカ原産ということも含めて、高度成長期の日本を象徴するような花だったと思う。しかしあまりの存在感と、花粉症の元凶との誤解で人々から嫌われていた。やがて日本経済が停滞しだす頃、あれほどはびこっていたのが嘘のように、この花もほとんど見かけなくなっていった。目の敵のように駆除されただけでなく、なんでも自分の出す毒に自らもやられてしまったとのことだった。


屋久島でも昔、繁茂したことがあったのだろうか。どうも最近になって、やっとちらほら見かけるようになってきた気がする。ススキが旺盛に生い茂る端に黄色の花を見つけた時、それがあのセイタカアワダチソウだとは思わなかった。せいぜい腰ほどの高さで、なんだか申し訳なさそうにそっと咲いていた。たくさんある菊の花の一つといった感じで、秋の景色にすっかり溶け込んでいた。


あの華やかに咲き乱れる風景は、自分の青年時代と重なってとても懐かしい。その思い出のためか、それともこの花のもともとの美しさのためか、小さくなった姿にとても惹かれる。そういえば日本の秋の彩の一つとして人々から愛されているコスモスも、もとはメキシコから来た外来種だ。いつかこの花もそんな扱いを受けるようになるかもしれない。もはやセイタカではないので、何か呼びやすいかわいらしい名前に変えてやれたらと思う。
posted by 夜泣石 at 21:27| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月08日

ヒキオコシ

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山ぎわの道に沿って白い小さな花が一面に咲いていた。何となく花壇の霞草を思わせるが、それより花はかなりまばらにしかついていない。それでも胸の高さほどにぎっしりと生えているから、本当に霞がかかっているかのようにぼっと浮き出て見える。


花は小さく5mmもないが、よく見るとびっくりするほどかわいらしい。上側の花びらの中ほどを区切るように紫色の模様が並び、その先の方だけほんのり紫がかっている。両側に飛び出した花びらが、まるでばんざいでもしているかのようだ。何に似ているかといえば、ウサギのぬいぐるみか、はしゃいでいる幼子だろうか。


ヒキオコシの名は行き倒れの人の口に含ませたら、すぐに起き上がって歩き出したという故事から来ているのだそうだ。確かにこの葉を噛むと飛び上がるほど苦い。生薬として胃腸の不調に効くそうだ。また発毛促進や肌荒れなどにも効果があるとのことで、なかなかありがたい草のようだ。


本州より南に広く分布するとのことだが、屋久島に来るまであまり見た覚えがなかった。ここでは、ちょっと山がちなところなどにたくさんある。普段はぜんぜん気が付かないが、やっと涼しくなる今頃、急に背丈を伸ばしていっせいに咲く。花期も短く、この島の秋の盛りの指標となる花といえるだろう。
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2007年11月06日

ススキ

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南国の屋久島でもやっとススキの穂が出揃った。まだ花の段階で、赤茶の細紐が束ねられて、空に向かって吹き上げているような感じがきれいだ。ススキというと真っ白な穂を思い浮かべるが、その前のこの姿も渋い色合いでなかなか良いと思う。


開き始めの穂をぐっと見つめると、その精妙な作りに驚かされる。茶色の筒が細い糸で吊り下げられてたくさん並んでいる。じつはこれは雄しべで筒は葯なのだ。風に揺れると先の方に開いている穴から花粉が出てくる。穂の隙間からにゅっと顔を出している赤紫の毛虫のようなものは雌しべの先だ。この毛に、風で飛ばされてきた花粉が引っかかることになる。


イネ科の花は、とても花とは思えないほどみすぼらしい。では原始的なのかというとそうではなく、風媒花になったため、いらなくなった部分を切り捨ててきた結果だそうだ。祖先はあのきれいなユリの花と同じ構造だったという。進化の極致に、派手な煩わしいものなどかなぐり捨てて、必要なものだけの簡素な姿になったことに感動すら覚える。


この花々が実って真っ白な穂になるのはまだしばらく先になりそうだ。本土の高原などで、冷たい風に銀色の穂が一面に波打つ景色には哀愁すら感じるほどだった。この島では照葉樹林を吹き抜ける心地よい風に揺れることになる。それでも白髪を振り乱しているような姿に、今年もあっという間に過ぎていくことを実感させられる。
posted by 夜泣石 at 21:31| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月04日

ノブドウ

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秋の野山はあちこちでいろいろな実が目に付くが、中でもノブドウは特別きれいだ。淡い空色から紺色、赤紫や濃い紫など、一つの枝にいろいろな色が並んでいる。どれも深みがあって、しっとり落ち着いた色合いだ。


この実には思い出がある。幼い頃、遊び場の近くの藪で見つけた。あんまリきれいで、たくさんポケットに入れて持ち帰った。小さな箱に並べたら、見たこともない宝石箱のようだった。しかし次の日にはもう萎びてきて輝きを失ってしまった。その感激と失望の落差が今でも印象深い。


図鑑によると、このきれいな色は中に虫が入っているためだそうだ。ある種のハチやハエが卵を産みつけ、幼虫が虫えい(虫こぶ)を作ったのだという。確かに時々、倍ほども大きく薄汚れたような実があって、それらは見るからに虫えいの感じがする。しかしこれら多くのきれいな実は、割ってみても蛆虫の姿は見えないし、ちゃんと種も出来ている。どうも虫のいたずらではなさそうだが、それでは何でこんなに違った色になるのだろうか。


青い実は柔らかく、つぶすとクリーム色の果汁がたくさん出る。赤い実は固く干からびている感じだ。どうも青が本来の色で、赤は何か異常があったようだ。ともかくどちらもひどく酸っぱく食べられたものではない。


ノブドウは北海道から沖縄まで全国に分布しているそうだ。東京でも時々見かけたが、屋久島にはことのほか多いようだ。我が家の裏の藪にもたくさん絡んでいる。そして庭のあちこちから芽生えてくる。きっと鳥が撒き散らしたのだろう。こんなまずいものをよく食べるものだと感心する。それとも彼らもまたこのすばらしい色に惹かれたのだろうか。
posted by 夜泣石 at 21:02| 花草木 | 更新情報をチェックする

2007年11月02日

ハスノハカズラ

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海岸近くの林に、真っ赤な実がぎっしりかたまってぶら下がっていた。黄色や緑もあって、まるでお菓子箱の中でも覗いたようだ。近くにはまだ出来かけの小さな房もたくさんある。これからもしばらく、きれいな色を楽しめそうだ。


近くの路上に鹿の親子がいた。しきりに何か食べている。突然、石つぶてのようなものが頭に当たった。ヤマビワの実だった。木の上に猿がいる。猿に狙われたのだろうか。サルは熟した実を食べて、おいしくなさそうなものを落としている。それを鹿が食べているのだった。


これだけ動物たちがいるのにこの赤い実は見向きもされない。葉も一面に茂って食いちぎられた跡などない。それは毒があるためのようだ。同じ科のツヅラフジなど生薬として利用され、強い鎮痛作用があるのだそうだ。


実もきれいだが、葉の形も面白い。真ん中あたりから葉柄が下に突き出ている。普通、葉は平面的なものだが、これは傘でも差したように立っている。それがハスの葉と同じ形なので、ハスノハカズラと名が付いたそうだ。ハスは水中から葉を出すのでこんな形が理にかなっているが、こちらはカズラの名の通り高い木によじ登るつる植物だ。なぜこんな形になったのだろうか。あたりには木に登れなかったつるが地面を這ってグランドカバーのようになっていた。その場合にはこの形は都合よさそうだが。


ハスノハカズラは屋久島に来て初めて見た。分布は東海地方より南だそうだ。変った葉なので最初は珍しい植物かと思ったが、そのうちいたるところにあるのが判った。夏の間ずっと黄色の花を付けている。小さすぎてよく見なかったが、変った構造をしているのだそうだ。またこの実の中の核は虫が丸まったみたいな形で、模様も面白いという。まだまだいろいろ楽しませてくれそうだ。
posted by 夜泣石 at 21:50| 花草木 | 更新情報をチェックする
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